グルメ・お取り寄せ

弁当の支出額が日本一は高知県|全国平均1.5倍を使う理由

2026年8月24日

※本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。

弁当の支出額が日本一は高知県|全国平均1.5倍を使う理由

弁当にいちばんお金を使っている街は、どこだと思いますか?

総務省「家計調査」の最新データで全国トップに立っていたのは、高知県高知市でした。高知といえば、かつおのたたきや大皿にどんと盛る皿鉢料理のイメージが強い土地です。あの豪快な食文化と、ふたのついた小さな弁当箱は、どうにも結びつきません。

ところが数字を追いかけていくと、この2つはまったく別のものではなく、同じ根っこから伸びた枝だということが見えてきます。日本一の数字を支えているものは何なのか、現地で買える"高知らしい弁当"まで含めて、じっくり深掘りしていきます。

弁当の年間支出額日本一は高知県高知市

順位都市1世帯あたり年間支出額
1位高知市(高知県)27,424円
2位前橋市(群馬県)26,759円
3位那覇市(沖縄県)26,213円
4位東京都区部25,742円
5位静岡市(静岡県)24,018円
—全国平均18,460円
出典:総務省「家計調査」2023年〜2025年平均(二人以上の世帯)。調査対象は都道府県庁所在市および政令指定都市。

まず、データを確認しましょう。

総務省統計局「家計調査」(二人以上の世帯、都道府県庁所在市および政令指定都市が対象、2023年〜2025年の平均)の「弁当」年間支出金額ランキングによると、高知市(高知県)が1世帯あたり27,424円で全国1位でした。

この金額がどれくらい大きいのかは、全国平均と並べるとよくわかります。
同じ家計調査による弁当の全国平均は、2024年で1世帯あたり18,352円。7年連続で増加し、2000年以降でもっとも高い水準に達した年の数字です。それでも高知市の27,424円は、その約1.5倍にあたります。

しかも高知市は、最近になって急に上位へ顔を出した街ではありません。
2020年時点の同じランキングでも、高知市は23,263円で全国1位。当時の全国平均15,780円を7,000円以上も上回っていました。東京都区部や前橋市、那覇市といった常連組と首位を争いながら、長く上位に居続けているのが高知市です。

なお、家計調査の「支出金額」は、あくまで弁当の購入にかけた金額です。単価の高い弁当を選ぶ家庭が多いのか、買う回数そのものが多いのかまでは、この数字だけでは判断できません。とはいえ、全国の県庁所在市と政令指定都市を並べて高知市が首位に立つ以上、この街には弁当を買う理由があるはずです。

なぜ高知市は弁当にお金を使うのか

高知の食といえば、かつおのたたき。そう答える人がほとんどでしょう。
実際、家計調査でも高知市はかつお(鮮魚)の支出額・消費量ともに全国1位です。では、その高知がなぜ弁当でも日本一なのでしょうか。理由は3つに分かれています。

「買って食べる」がとにかく強い街

高知市が1位を取っている品目を並べてみると、弁当が例外ではないことがすぐにわかります。
2020年時点のデータでは、かつお(鮮魚)やしらす干し、かつお節・削り節といった土佐らしい品目に加えて、弁当、すし(外食)、焼肉(外食)、発泡酒等でも全国1位でした。

つまり高知市は、家で一から料理をつくって食べるだけでなく、「買ってきて食べる」「外で食べる」という行動全般が全国屈指に強い街なのです。弁当という中食も、すしや焼肉という外食も、同じひとつの県民性の上に乗っています。

大皿を囲む「おきゃく」の文化

その県民性を長いあいだ支えてきたのが、高知の宴会文化「おきゃく」です。

農林水産省「うちの郷土料理」によると、おきゃくは土佐弁で宴会を指す言葉で、冠婚葬祭から出生祝い、還暦祝い、節句、新築祝いまで、あらゆるハレの場で開かれてきました。そこに欠かせないのが皿鉢料理です。直径36〜39cmの大皿に、刺身、かつおのたたき、すし、煮物、揚げ物までを隙間なく盛りつける、一皿でおよそ3人前という豪快な様式です。

皿鉢料理は特定の料理名ではなく、盛りつけの様式そのものを指します。起源は藩政時代の武家の供宴にさかのぼり、明治以降に県内全域へ広がりました。料理が減れば補充され、大皿の枚数でおきゃくの規模がわかるとまで言われます。

ここで大事なのは、皿鉢料理が「一人分ずつ取り分けない」料理だということです。
大皿を囲んで、みなが好きなものを好きなだけ取る。この感覚が日常に降りてきたかたちが、店で買ってきたものを持ち寄って食べるスタイルであり、弁当という中食との相性の良さにつながっています。

働く女性が多いという土台

もうひとつ、家計簿の側から効いている要素があります。高知県は、働く女性の割合が高い県として知られています。

高知県公式の移住サイト「高知家で暮らす」によると、管理職に占める女性の割合は18.0%で全国3位、女性社長の比率は10.1%で全国6位、女性有業者に占める起業者の割合は3.8%で全国3位。共働きが多く、育児中の女性の有業率も高い水準にあることが示されています。

平日に働く人が多い家庭ほど、夕食や昼食を店で買って済ませる場面は増えます。「おきゃく」で育った持ち寄りの文化と、共働きという現実の事情。この2つが重なったところに、弁当支出額日本一という記録が立っているというわけです。

高知の弁当文化を味わうなら、日曜市の「田舎寿司」

家計調査の数字は家庭で買った弁当の金額ですが、せっかくなら現地で味わいたいところです。高知市には、この街の"買って食べる文化"がそのまま風景になっている場所があります。

元禄3年から続く、追手筋の日曜市

高知市公式サイトによると、高知市追手筋の日曜市がはじまったのは元禄3年(1690年)。300年以上の歴史を持つ土佐の街路市です。毎週日曜日の午前6時頃から午後2時頃まで、全長約1kmにわたって約300店が軒を並べ、1日に約1万7000人が訪れます(1月1・2日と8月10〜12日は休み)。

新鮮な野菜や果物はもちろん、金物、打ち刃物、植木まで並ぶこの市は、観光名所であると同時に高知市民の台所でもあります。そして、ここで多くの人が買って帰るものこそが、次に紹介する田舎寿司です。

「行楽寿司」と呼ばれる、野菜だけのすし

田舎寿司は、高知の山間部に伝わる郷土料理です。高知市公式サイトの説明によると、酢飯にゆず酢を効かせ、にぎりと詰め寿司の両方のかたちでつくられます。

特徴は、ネタに魚を使わないこと。りゅうきゅう(ハスイモ)、しいたけ、みょうが、たけのこ、こんにゃくといった山里の食材が主役です。たけのこの黄色、しいたけの黒、みょうがのピンク、りゅうきゅうの緑。折り箱に詰めると、それだけで一枚の絵のようになります。

そして高知市公式サイトは、この田舎寿司を「色や旬の素材を楽しみながら食べる行楽寿司」と表現しています。冠婚葬祭用の巻き寿司や姿寿司とはわけて語られる、外に持ち出して食べるためのすしだということです。日曜市などの街路市や直販所、量販店でも日常的に売られており、高知の人にとってはごく普通の買いものの選択肢になっています。

弁当支出額日本一という統計の裏側に、「持ち出して食べるための郷土料理」が根づいている。この符合は、なかなかできすぎた話ではないでしょうか。

買ってきて持ち寄る「ひろめ市場」

もうひとつ、高知市帯屋町2丁目3-1にある「ひろめ市場」も外せません。土佐藩家老の屋敷跡付近にあり、維新後も「弘人屋敷(ひろめやしき)」と呼ばれていたことが名前の由来です。

市場の中は「お城下広場」「龍馬通り」など7つのブロックにわかれ、鮮魚店や精肉店、飲食店、雑貨店までが集まっています。ユニークなのは食べ方で、テーブルと椅子が市場内の各所に置かれ、それぞれが自分の好きなものを好きな店で買ってきて、持ち寄って食べるスタイルになっています。

大皿を囲む皿鉢料理、折り箱に詰める田舎寿司、そして買ってきたものを持ち寄るひろめ市場。かたちは違っても、どれも「一人分ずつ完結させない」という同じ発想の上にあります。高知の弁当支出額日本一は、この土地の食べ方そのものが数字になったものだと言えるでしょう。

なお、営業時間や出店状況は変わることがあります。訪れる前に各施設の最新情報を確認してください。

お取り寄せ・関連リンク

田舎寿司そのものを取り寄せるのは難しいのですが、あの味を家庭で再現する道具は手に入ります。
決め手になるのは、酢飯に使うゆず酢です。高知県産のゆず酢や、ゆず果汁を使ったすし酢はAmazonや楽天市場でも扱いがあり、りゅうきゅうやみょうがが手に入らなくても、しいたけやたけのこの水煮で雰囲気は十分に出せます。

もちろん、高知の食といえばかつおのたたき。藁焼きのたたきを冷凍で取り寄せて、田舎寿司と一緒に並べれば、家庭でつくる小さな皿鉢料理のできあがりです。日本一の街の食卓に思いをはせながら、まずはひと品試してみてはいかがでしょうか。

価格や在庫は変わることがあるため、購入前に各サイトで最新情報を確認してください。

▼あわせて読みたい(家計調査から見えた日本一)

まとめ

弁当の年間支出額日本一は、高知県高知市。1世帯あたり27,424円という数字は、全国平均の約1.5倍にあたります。2020年時点でも23,263円で全国1位につけており、たまたま上振れした1年の記録ではありません。

その背景にあったのは、大皿を囲む「おきゃく」と皿鉢料理という持ち寄りの文化、300年以上続く日曜市で日常的に売られる「行楽寿司」こと田舎寿司、そして働く女性が多いという暮らしの実情でした。かつおの国というイメージの下に、「買ってきて、持ち寄って食べる」という別の顔が隠れていたわけです。

弁当という何気ない品目の支出額が、実はその土地の宴会文化や郷土料理まで映し出している。統計というのは、そういうおもしろさを持っています。次に高知を訪れるときは、日曜市で田舎寿司をひと折り買って、追手筋のベンチで食べてみてください。日本一の数字の正体を、いちばん近いところで味わえるはずです。

✅出典

-グルメ・お取り寄せ
-, ,